シミュレーションゴルフの今

2015.12.22

シミュレーションゴルフのプロツアー「GTOUR」参加者が語るゴルフ論「シミュレーションゴルフで得たものはフィールドゴルフに必ず活かせます」

2015-16 WGTOUR Summer 第3戦 参加者
キム・カヨンさん(24歳)

シミュレーションゴルフのプロツアーGTOUR参加者のゴルフ論

「シミュレーションゴルフのプロツアー! TV生中継もされて人気の「GTOUR」とは」のページでも紹介したように、GTOURは参加資格を持つ約1000名のツアープロやトップアマがシミュレーションゴルフで腕を競い合い、頂点を決める大会です。今回は女子のGTOURである「WGTOUR」の決勝大会が行われている韓国・大田(テジョン)の会場ZOIMARUで、参加選手へのインタビューを行うことができました。
GTOURには初年度の2012年から参加しているというキム・カヨンさんは、見てのとおりの美人ゴルファー!そしてGTOURだけではなく、プロゴルファーとして現在、3部リーグツアーで活躍している選手でもあります。フィールドゴルフのツアーとGTOURの違いなど、彼女ならではの実感のこもったインタビューをお届けします。


GTOURに本気で参戦!過去には優勝も


―― GTOURに参加するようになったきっかけを教えてください。

キムさん 私はもともとプロとしてゴルフをやっていたんですが、同時にGOLFZON関係の記事を書く記者の仕事もいただいていたんです。それで記事を書くために取材をしたりしていてGTOURのことを知ったのがきっかけです。自分もプレーできるのならやってみたいと興味を持って参加しました。初年度の2012年のことです。


―― プロゴルファーでもあり、ゴルフライターでもあったんですね。

キムさん はい、ゴルファーとしては2009年にKLPGA(韓国女子ツアー)の準会員になりました。今は3部の大会に出場しています。他にはフリーでラウンドレッスンなんかをやることもあります。


―― GTOURでのこれまでの成績は?

キムさん 最初はちょっと経験してみようかなという軽い気持ちだったんですけど、実際に参加してからは面白くなって、けっこう本気で頑張るようになりました(笑)。順位はこれまで5位、3位、優勝したこともありますよ。


―― 優勝も!

キムさん はい。昨年の大会で優勝しました。


―― 回を重ねるごとに、GTOURに参加するプロの選手というのは増えてきているんでしょうか?

キムさん ええ、今はプロの選手が多くなりましたね。3部リーグの他の選手からも「どうやったら参加できるの?」と聞かれる機会も増えています。最初のうちはアマチュアの選手たちが多かったんですけど、今は特に女性の場合はだいぶプロの選手に切り替わっています。


―― それは賞金が魅力的なんでしょうか?

キムさん Gツアーは賞金の規模がほぼプロのツアーと同じくらいになっているので、それもあると思います。それから3部の周りの選手たちに聞くと、GTOURはどれくらい難しいのか、フィールドとの違いは何なのか、スクリーンゴルフ(シミュレーションゴルフ)をやると自分たちのフォームが崩れるんじゃないか、そういう心配と不安がある人が多かったみたいです。その不安がだんだん払拭されて、プロでもGTOURに参加するようになったんだと思います。


―― 実際にフォームが崩れたりということはないんですか?

キムさん ないと思いますよ。私は逆にスクリーンゴルフがフィールドゴルフにすごく役に立ったと思っています。同時にやることでどちらも技術がアップする、そのメリットのほうが大きいですね。

シミュレーションゴルフのプロツアーGTOUR参加者のゴルフ論

一番注意しているのはフェースの角度


―― スクリーンゴルフとフィールドゴルフの違うところは?

キムさん 一番の違いはパッティングです。スクリーンゴルフでは距離と傾斜が問題ですが、実際のフィールドのグリーンではもっと複雑で微妙なアンジュレーションがありますから。でも私の場合は基本的に距離感と方向だけで打つので、このことはあまり気にしません。知り合いのプロゴルファーの中にはスクリーンゴルフをやっているとフィールドでのパッティングの感覚がおかしくなるんじゃないかと心配する人もいます。私もそう思っていた時期もあったんですが、今はそんなことはないと言えますね。スクリーンゴルフでしっかりとしたパッティングができるようになると、フィールドでもその感覚を生かしていいパッティングができるんです。


―― スクリーンゴルフ自体はGTOURに参加する前からよくやっていたんですか?

キムさん いえ、GTOURに参加する前は3回くらいしかやったことがありませんでした。


―― じゃあ今はどこかのお店などでスクリーンゴルフの練習をしているんですか?

キムさん はい。今、3部リーグもやっているので週1回くらい大会があるんですけど、まずはフィールドの練習をしなければならないんです。だからスクリーンゴルフは大会がある時に、3日か4日、集中的に練習をします。


―― GTOURでいい成績を残すにはどんなポイントに気をつければいいと考えていますか?

キムさん 私が一番注意しているのはボールを打つ時のフェースの角度です。というのもキャリーだけを考えてプレーすると、キャリーってその時の風、天気によって影響を受けるので計算が狂ってしまう要因になる。そこで状況によってボールが落ちてから転がるランを多くして計算に入れ、それによってゲームを組み立てていく。これが大事なポイントだと思います。


―― それはフィールドでも一緒ではありませんか?

キムさん そうです。だからスクリーンゴルフでどう打てばどんなキャリーやランの数値が出るかをよく頭に叩き込んでおけば、フィールドでも役に立つんです。風を計算してキャリーを調整するのも一緒です。


―― フィールドの大会とGTOURでの緊張感の違いというのはどうでしょう?

キムさん 上位に上がれば上がるほど、実はGTOURの方が緊張します。その理由はフィールドでは目に見えるものだけに集中して、フィーリングで打てばいいんですが、GTOURでは機械が相手です。ずっと同じ条件でプレーを続けながら、パワーなどを繊細にコントロールしなければならない。それがちょっと大変です。あとはリアルタイムですぐに他の選手たちの成績がわかるので、それもとても気になります(笑)。

プレイ中も画面左上で常時スコアとランキングが表示されている

GTOURで露出が増えてスポンサーがつくことも


―― GTOURでは終盤になるとギャラリーもだんだん増えてきて、ライバルもみんな近くにいて、テレビにも映されているわけですもんね。

キムさん そうです、周囲の雰囲気だけはだんだんヒートアップしてくるんですよね。

最終組を観戦するギャラリー

―― GTOURならではの魅力と言ったら何でしょう?
キムさん ゲーム性が強いんですが、実際のフィールドでやっているような臨場感が味わえるところだと思います。それとプロの立場として言えば、3部リーグではスポンサーがつくことはほとんどないんですけど、GTOURではテレビの生中継があって、スポンサーがつくことがある。そのこともあって私の周りの他の選手たちも興味を持つようになっています。

GTOUR通算10勝を上げているスクリーンゴルフの女王チェ・イジさん。
キャップにも背中にもたくさんのスポンサーロゴが

―― 今、キムさんのスポンサーは?
キムさん サードスポンサーまで入れて6社ついています。でもまだメインスポンサーはないんです。


―― GTOURに参加するようになってファンの人は増えましたか?

キム 大会による露出もあるんですけど、実は私以外にあと2人、合わせて3人でユニットを組んで、オンラインテレビでレッスンの番組をやらせてもらっているんです。1分レッスンみたいな番組です。そうした番組を通じて、これからファンの方が増えていくといいなと思っています。


―― なんというユニットですか?

キム フローラという名前です。3人とも今回の大会にも参加しました。


―― なるほど。では選手としても、GTOURプレイヤーとしても、フローラとしても、これからも頑張ってください。インタビューありがとうございました。

「フローラ」は美人ゴルファー3人によるユニット。こんなところにも韓国ゴルフが新しいカルチャーとして育っていることの一端が垣間見えたような気がしました。GTOURもまたケーブルテレビなどで生中継され、シミュレーションゴルフファンや、参加を希望するプレイヤーたちを増やしているようです。シミュレーションゴルフが完全にゴルフの一つのスタイルとして受け入れられ、定着し、そして別の可能性も広げてようとしている……シミュレーションゴルフがフィールドゴルフに与える影響やテクニック論も含め、キムさんのインタビューからはそんな空気も感じることができました。