シミュレーションゴルフの今

2015.12.24

総工費70億円、約1万坪の巨大施設 総合ゴルフ施設「ZOIMARU」とは?

ソウルからKTX(韓国高速鉄道)に乗って約1時間、韓国中部地方に位置するテジョン(大田)広域市は、1993年には科学EXPOが開催され、現在も政府、民間の研究所が集中する科学技術都市として有名です。ZOIMARUはそんなテジョンに2015年1月に本格オープン。同エリアの新しいランドマークとなりました。

韓国・GOLFZON社は何を目的としてこの巨大で独創的な施設を作り、どんなことを行っているのか。実際にZOIMARUを訪ね、話を聞いてきました。そこからは、ゴルフ業界において多角的な展開を進めるGOLFZONの、一種の象徴のような施設だということがわかってきます。

総工費70億円、約1万坪の巨大施設 総合ゴルフ施設「ZOIMARU」とは?

ZOIMARUとは?
白を基調とし、曲面とガラス張りが印象的な2つの形の異なるビルと、プール、噴水広場などの周辺施設。ビルの前にはオープンスペースに造成されたショートホールがあり、そしてドライバーを構える巨大な銀色の“ゴルフ像”も立っています。総工費70億円、約1万坪の土地代40億円。巨大施設、ZOIMARUとは何なのか、そのコンセプトについて、ZOIMARU責任者(当時)のキム氏は次のように語ります。

「ZOIMARUは世界初のゴルフをテーマとした複合文化センターです。ゴルフのテーマパークと言ってもいいでしょう。まずはGOLFZONならではの技術力を生かしたゴルフのトータルソリューションを提供する場であり、それによってゴルフ文化を広げていくことが目的です。そしてゴルフが好きな人にとどまらず、さまざまな家族に気軽に立ち寄ってもらい、ここで憩いのひとときを過ごしてもらうことを目的とした施設でもあります」

総工費70億円、約1万坪の巨大施設 総合ゴルフ施設「ZOIMARU」とは?
「文化としてのゴルフ」を発信したい
ZOIMARUの第一の目的は、ゴルフ文化を作り出すことだとキム氏は言います。ゴルフを韓国国内にもっとしっかりと根づかせ、ゴルフ産業とゴルフ市場を拡大し、ゴルフ業界に貢献するためにZOIMARUは作られました。

例えば、そのための取り組みの一つに「エリートアカデミー」があります。これは世界的なプロゴルフ選手を目指す若い優秀な選手たちをZOIMARU内のトレーニング施設を活用してトレーニングしながら育成するというもので、「K-ゴルフ」プロジェクトとも呼ばれています。フィジカルを鍛えるフィットネス施設、GOLFZONが開発したシミュレーションゴルフ技術を応用しトレーニングマシンとして最適化したGDR、さらにIT技術を駆使した選手一人一人のデータをもとにした効率的な訓練や体系的な管理を行うためのメソッドを駆使し、10代から20代前半の選手たちがゴルフ技術とメンタルを磨いています。

総工費70億円、約1万坪の巨大施設 総合ゴルフ施設「ZOIMARU」とは?

選手の個人データを分析するプログラムとしては、「GOLFZONスマートケア」というアプリを政府の支援金を受けて開発。このアプリは、健康診断や体力測定の結果をすべてデータベース化し、筋力や体脂肪率、心肺機能などを見てどこに弱点があり、どう強化していけばいいか、あるいは怪我などどこが故障しているのかをいつでも確認できるというものです。データは定期的な収集を行うことで蓄積し、PC、タブレット、スマートフォンでチェックが可能。そのため、コーチやトレーナーが変わっても情報を素早く簡単に共有できます。基本的な体力に関するデータの他に、スイングの特徴などゴルフに関するデータも入っており、この選手はどんなトレーニングを重視して行えばいいかがわかるようになっています。

最終的に目指すのは、全世界のゴルフセンター
別ページでレポートしているGTOURの決勝大会もZOIMARU内のシミュレーションゴルフブースが並ぶ会場で行われます。その模様はテレビ中継を通じて、定期的に全国に放送されています。
ただ、ZOIMARUがターゲットとするのは国内だけではない、ともキム氏は力説します。その視線の先には世界があり、事実、すでに海外各国からもZOIMARUは大きな関心が寄せられているようです。
「まず何より、ゴルフに特化してこれほど大掛かりな施設を作ったということに対する驚きと興味があるのだと思います。例えばZOIMARU内にあるフィットネスジムのマシンは欧米の有名企業数社の製品を、ゴルフに最適化する形でセッティングして導入したのですが、それらのメーカーの社長や幹部がすぐさま視察に訪れました。フィットネスマシンをゴルフと融合させてどのように活用していくのか、あるいはZOIMARUのような施設がどんなビジネスチャンスを生み出していくのかということに非常に高い関心があったようです。それから自国でも同じような施設を作りたいという構想を持って視察にやってきた中国の方もいます。常に世界各国からいろいろな人たちがZOIMARUを訪れているような状況です」

ZOIMARUが最終的に目指しているのは全世界のゴルフセンターになることだと言います。そして当面は、もしかしたらこれから世界各地に出来ることになるかもしれないゴルフの複合文化センターの、フラッグシップモデルとしての役割を果たそうとしているということなのでしょう。
アナザー・テーマは「家族」
もう一つ、ZOIMARUのユニークな側面として見逃せないのは、ゴルフ文化の発信とは別に、「家族」もテーマとしていることです。その理由をキム氏はこう語ります。
「単純なことなのです。ゴルフが好きな人だけに目を向けるのではなくファミリーを大切にすることで、より多くの人たちが少しでもゴルフに近づいて欲しいのです。例えばZOIMARUには子供向けミュージカルの劇場があります。プールもあるし噴水広場もあります。ミニゴルフなど子供たちがゴルフに接することができるコンテンツもあります。それからジュニア向けのレッスンもやっていますが、これも専門的にゴルフ選手を育成するといったことではなく、楽しくゴルフに触れて、体験してほしいという趣旨のものです。それらをきっかけにして本人がゴルフ好きになったり、ご両親がちょっとでもゴルフをやらせてみようかなと思ってくれればいいですよね」

今回、取材のためにZOIMARUを訪れると、昼間には両親が見守る中、子供たちがプールや噴水で遊び、地下のミュージカル劇場も親子連れで盛況、そして夕方になればビルの1階にあるカフェやバルに大人たちが立ち寄って思い思いのひとときを過ごすという姿が見られました。ZOIMARUは周辺で暮らす人たちにとって、当たり前のように集い、気軽に利用できるスポットとして認識されているようです。ゴルフと家族、少し不思議な組み合わせですが、実際にその2つが共存して成立しているのが、ZOIMARUという場所のようでした。

ZOIMARUの「ZOI」は楽しさや喜びを意味する「JOY」のスペルを変えたもの、MARUは韓国語の昔からの表現で「頂点」を意味するそうです。つまり、ZOIMARUとは「究極の楽しさ」という意味です。世界で初、そして今のところ唯一のゴルフ複合文化センターであるZOIMARU。それがこれからどのような展開を見せていくのか、日本からも注目したいと
ころです。